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相続登記の義務化 について

相続登記の義務化 について

 「相続登記が義務化される」

 

 このような記事や情報を聞いて、いつから開始されるのか?今現在発生している相続も対象になるのか?罰則はあるのか?など不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 法務省が公表している令和4年7月末に行ったアンケート結果によると、相続登記の義務化について「よく知らない」「全く知らない」と答えた人は、約66%だそうです。

 

 相続登記は、来年、令和6(2024)年4月1日から、義務化されます。

 

 相続登記の義務化へ向けた法律が整備された背景は、所有者不明土地(不動産登記簿から所有者の所在や生死が判明しない又は連絡がつかない土地)の増加によって生じている様々な問題です。例えば、防災や復興等の公共事業を進めるにあたり、用地取得や森林の管理に支障を生じ、事業が進まないといった弊害があります。また、土地の管理不全やゴミの不法投棄などにより周辺環境に悪化が生じ、さらには、それに対処しようとしても所有者が不明なため勝手にできないといった、周囲に迷惑なだけでなく、衛生面防災面の問題を引き起こしています。このような土地のために、周辺の土地の価格の下落も招きます。

 

 令和2年度に実施した国土交通省の調査結果によると、所有者不明土地は、全国の土地の約24%になります。そのうち約63%を相続登記未了が占めているとのことです。これまで(今現在)は、相続登記に申請期限がなく、申請しないことへの罰則もありませんでした。そのため、相続人にとって費用や手間をかけてまで相続登記をするメリットがない場合は、放置されることが多かったのです。

 そこで、所有者不明土地解消手段のひとつとして、相続登記の義務化がされることとなりました。

 

 

 実は今回の法改正では、他にも知っておかないと損をしたり、大きな影響が生じる改正があります。あわせて簡単にご紹介したいと思います。

1.相続登記の義務化

 相続登記とは、相続によって取得した登記上の権利を、相続した方へ名義変更する手続きです。
 今回、その中でも相続登記義務化の対象となるのは、不動産の所有権の登記です。

 来年、令和6(2024)年4月1日から、相続登記が義務化されます。

 相続人は、相続や遺贈で所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由がないのに申請を怠った場合は、10万円以下の過料が課されます。
 
 そして申請義務は、令和6(2024)年4月1日以前に発生した相続にも適用されます。法律の施行から3年間の猶予を置くとされています。つまり、今、相続が発生していて、相続登記をされていない方も、令和9(2027)年3月31日までにしなくてはならなくなりました。
 

2.相続人申告登記

 相続人が複数いて、遺産分割協議が相続登記申請期限の3年以内にまとまらない場合もあります。
 そのような場合のために、相続人申告登記という制度が新設されます。
 
 相続登記義務化同様、令和6(2024)年4月1日から、開始されます。
 
 この相続人申告登記は、
  ①所有権の登記名義人に相続が開始したこと
  ②自分が所有権の登記名義人であること
を、相続登記申請期限の3年以内に法務局へ申告することで、相続登記の申請義務を履行したとみなされる制度です。

 所有者を表すものではなく、①②を記録することによって所有者不明土地を発生させるリスクを軽減させることが目的なので、記載された相続人に所有権が移転するわけではありません。

 必要書類(戸籍謄本等)の取得費用はかかりますが、この申告自体は非課税(無料)です。
 
 気を付けなくてはならないのが、その後遺産分割協議が成立した場合は、それから3年以内に相続登記を申請しないといけません。

 また、すでに遺産分割協議がまとまって、その土地について相続人が確定している場合には、この制度は利用できません(遺産分割協議書に基づき相続登記を申請しなければなりません)。

3.所有者の住所や氏名等の変更登記の義務化

 相続登記を義務化して名義変更しても、その後住所が移転したりや氏名が変更されたのにそのままにしていては、結局所有者不明になってしまいます。所有者の住所や氏名等の変更登記は、相続登記同様、期限や罰則がないため、必要に迫られない限りそのままにされることが多くなっていました。
 そこで、所有者の住所や氏名等の変更登記についても義務化されることとなりました。

 所有者の住所や氏名等に変更があった日から2年以内に申請しなければなりません。

 正当な理由がないのにその申請を怠った場合は、5万円以下の過料が課されます。

 具体的な義務化の時期は未定で、令和8年4月27日までに施行されることになっています。
 
 相続よりもこちらの方が機会が多いと思いますので、注意が必要です。

4.不要な土地を国に渡すことができる(相続土地国庫帰属法)

 相続で土地を取得した場合に、その所有権を手放し、国庫に帰属させることができるようになります。

 今年、令和5(2023)年4月27日からです。

 土地を相続したものの、利用することもなく、かといって売却先や譲渡先も見つからず、未来永劫、管理費や固定資産税等を払い続けなければならなくて困っているといった話をよく聞きます。現在の法律では、このような土地だけ相続放棄することが認めらておらず、やむなく相続しているのが現状です。

 現状公開されている概要について記載します。

①対象となる土地

 相続又は相続人に対する遺贈により取得した土地です。
 
 ただし、不要な土地だからといって、全て国庫に帰属することができるわけではありません。通常の管理又は処分に過分の費用又は労力を要する土地は対象外とされています。

 対象外の基準として、却下事由と不承認事由が定められています。
 ⑴却下事由
  ア 建物がある土地
  イ 担保権や使用収益権が設定されている土地
  ウ 他人の利用が予定されている土地
  エ 土壌汚染されている土地
  オ 境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地
 ⑵不承認事由
  ア 一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地
  イ 土地の通常の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地
  ウ 土地の管理・処分のために、除去しなければならない有体物が地下にある土地
  エ 隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分できない土地
  オ その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

 却下事由、不承認事由に該当しない場合は、国庫帰属の承認をしなければならないとされています。なお、要件該当性の具体的な判断方法や周知方法については引き続き検討するとされています。却下事由又は不承認事由の有無について、可能な範囲で事前に確認することができるようにするための相談窓口を設置することが予定されているそうです。

②手続きの概要

 ⑴承認申請
   相続又は遺贈により取得した相続人から申請します。
   共有地の場合は、共有者全員で申請しなければなりません。

 ⑵事実調査等
   申請を受け、法務局職員が事実調査を行います。

 ⑶承認・負担金の納付
   承認があった場合は、申請者は30日以内に負担金を納付します。
   負担金の額は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を基に算出した10年分の
  土地管理費用相当額とされています(政令で定められます)。
   宅地、農地、森林などは、1㎡毎に単価を乗じた金額で計算されます。上限がな
  いため、数百万円になる可能性もあります。
   原野などは、一律20万円とされています。

 ⑷国庫に帰属
   負担金納付後に国に所有権が移転します。

5.登録免許税の免税措置

 相続登記を促すために、期間限定で、登録免許税の免税措置が取られています。

 令和7(2025)年3月31日までに申請する登記に適用されます。

 ①不動産の価額が100万円以下の土地
   相続による所有権移転又は所有権保存登記について、非課税(0円)となりま
  す。

 ②相続により土地を取得した者が相続登記をしないで死亡した場合
   このような場合に、死亡した方名義への相続による所有権移転登記は、非課税
  (0円)となります。

  あくまで、登録免許税が非課税となるだけなので、その他の費用(戸籍等取得、
 郵送料、司法書士報酬等)は、通常どおりかかります。

6.むすび

 所有者不明土地問題の解決を図るために、相続登記義務化をはじめとして、民法なども改正されます。

 相続登記などのように、義務化のことを知らずに放っておくと後から過料を科されるものに気をつけるのはもちろんですが、法律の内容が変わったために、取扱いが変わるものもありますので注意が必要です。

 ご不明不安のある方は、ぜひご相談ください。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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